ぼくはエスカレータの数段下にいる理仁くんを振り返った。 「それが赤外線だと、よく気付きましたね」 「見たことあるからね。赤外線って、人間の目には見えないけど、デジカメとかスマホのインカメとか使えば、感知できるじゃん? そういうの駆使して、防犯用の赤外線センサーを全部、無効にしてやったことがあるんだ。姉貴と二人で」 「防犯用のセンサーを無効化って、何ですか、それ?」 「怪盗ごっこ」 「はい?」 「ってのは冗談で、家出したときに使ったんだよ。フツーに家出できない環境だったからさ」