夜の裏通りは時折、改造バイクの爆音がする。


暴走族気取りの不良集団、緋炎の集会だろう。


彼らのバイクは、改造によってエネルギーの伝達効率が非常に悪くなっていて、エンジンをふかすたびにひどい振動を起こす。


あの無秩序さは、見ていて気持ちが悪い。



煥くんが吐き捨てた。



「不細工な音だ」



煥くんのバイクはメンテナンスが行き届いていた。


古いようだったけれど、機械の挙動に無駄がなくて美しかった。



大通りに出た。


深夜を迎えて、ビルの明かりは少ない。


目的地が近付いてくる。