「市内には、警察が機能してないエリアがあるだろ? そういうエリアの取り締まりを請け負ってんだよ。

いわば、傭兵だな。総統がやっておられる手広いビジネスの一環だ。海牙、知らなかったか?」


「アジュさんたちが警備会社の看板を掲げているのは知ってましたが、具体的に何をしているのかは知りませんでした」



鈴蘭さんが顔を曇らせた。



「武器を持つって、イヤですよね。暴力なんて、本当はよくないのに」



煥《あきら》くんは、攻撃力の高そうな手袋をはめてみている。



「向こうが襲ってこなけりゃ、こっちからは仕掛けねえ。でも、襲われて素直に殴られる趣味はねぇな」


「わかってます。リアさんを救出するまでは、甘いことは言ってられません」


「あんたは武器なんか持つな」


「どうしてですか? わたし、ただでさえ足手まといなのに」


「重いんだよ、こういうの。逃げる邪魔になる」


「逃げる、ですか……」