【不安かね、海牙くん?】
総統の声に、ハッと顔を上げる。
ほかの誰も反応していない。
ぼくだけに聞こえる声だ。
理仁くんなら、同じように思念の声をコントロールして、ほかの誰にも聞かれることなく応答できるんだろう。
ぼくにはそのやり方がわからない。
ぼくは、小さく一つ、うなずいた。
【今のところ、彼女の命に別状はない。肉体を損ねたりけがされたりもしていない。ただし、この先はきみたち次第だ】
運命の一枝が分岐するポイントでは、総統にも明確な未来が見えない。
一枝はブラックボックスの中で生長する。
評価値を満たす生長をおこなうなら、未来は続いていく。
おこなえないなら、一枝ごと淘汰される。
彼女を無事に救出できるのか。
ぼくと理仁くんの能力はもとに戻るのか。
そもそも、ぼくたちは生存できるのか。
不確かな未来へと、とにかく進んでみるしかない。



