ノッカーを叩く音がした。


礼儀正しい余白の後、静かにドアが開く。



「失礼いたします。そろそろお食事をお持ちしようと思いますが」



総統の執事の天沢《あまさわ》さんだ。


白髪の老紳士で、いつもまったく隙がない。


瑠偉と同じように、等級の低い宝珠の預かり手でもある。



「ああ、よろしく」



総統にそう告げられた天沢さんは、ワゴンを押して部屋に入ってくる。


天沢さんは、洗練された動作でテーブルをセッティングした。


箸や布ナプキンを一人ずつの前に置いていく。



「ありがとうございます」



礼儀正しく笑顔をつくった鈴蘭さんが次の瞬間、「えっ」と息を呑んだ。