方位にも感情にも、四獣珠が司る色がそれぞれ与えられている。


喜は青、東方や春を示す色。


怒は白、西方や秋を示す色。


哀は玄、北方や冬を示す色。


楽は朱、南方や夏を示す色。


そして、怨は黄色だ。人とチカラの集まりやすい中央に、濃く淀んでたまる感情。



でも、ぼくには少しわからない。



「怒りや哀しみと、怨みの違いは何ですか?」



人は何かを怨むことなく、怒ったり哀しんだりできるのか?


瑠偉が素早くタブレットPCをいじった。辞書を引いたらしい。



「怒や哀と怨の違いは、外に出るか内にこもるか、だ」


「じゃあ、純粋な怒りや哀しみって、難しいな。ぼくはそんなに正直じゃない。内に閉じ込めて、怨みにしてしまいますね」