胸の上で玄獣珠が鼓動している。
今まで、未知の情報の集合体である玄獣珠に意識を凝らしてみることなんて、ろくになかった。
預かりたくもないくらいに、解析不能な玄獣珠というものを、ぼくは疎ましく思っていた。
たぶん今、ぼくはどうしようもなく弱っている。
玄獣珠を拒む元気もない。
だから、初めてわかった。
玄獣珠のぬくもりから、ぼくをいたわる思念が静かに伝わってくる。
言葉と呼べるほど明確なものではないけれど、優しさと呼んでいいような波動が、じわじわとぼくの胸を温めようとしている。
理仁くんが、また、乾いた笑いをこぼした。
「すげーよな、海ちゃんって。この視界の情報、全部使いこなしてんでしょ? 眼鏡型のPCが開発中とかいうけど、海ちゃんのチカラは、その超絶高性能バージョンじゃん」
「理仁くんのほうがすごいでしょう。こんな状況なのに、冷静ですよね」
「んなことなくて、ひと暴れしたんだよ」
「ひと暴れ?」
「昨日の晩、平井のおっちゃん相手にね。今すぐ姉貴を助けに行きたいっつって、暴れて泣いて疲れ果てて、や~っと落ち着きました。
めっちゃみんなに見られたからね。今さらだけど、すげー恥ずかしい」



