力学《フィジックス》のチカラがある限り、ぼくは普通になれない。
だったら自分から、変人でいることを望んでやる。
あいつには近寄れない、と思われるほうがいい。
この情報量を共有できる相手も、本当の意味でぼくを理解してくれる相手も、どうせいないのだから。
【孤独だった。笑ってごまかした。仮面をかぶるみたいに、こうしていると、楽になった】
どんな形に唇を動かせば笑顔に見えるのか、鏡をのぞきながら練習した。
ぼくの顔立ちには、左右で誤差がある。
でも、笑った顔はほぼ左右対称に見えるはずだ。
【完璧なように練習したから】
ぼくはため息をついた。
「ダメですね。思ったことが、どうしても洩れてしまう。寝言とか、うるさかったんじゃないですか?」
「朝までは、おれじゃなくて瑠偉っちが、この部屋に寝てたんだよね。床に布団敷いてさ。もし瑠偉っちが何か聞いてたとしても、大丈夫じゃない? あの人、口堅いでしょ」
「そうですね」



