不良三人はポカンと口を開けた。


ナンパしておびえられたり逃げられたりすることはあっても、真正面からふられることはまずないんだろう。



彼らは、この町の柄の悪さの一因、「緋炎《ひえん》」と名乗る不良集団のメンバーだ。


古典的な暴走族の真似事をして、違法改造したバイクに乗ったり、チームの掟《おきて》を作ったり、役職によって納めるべき金銭的ノルマがあったりと、頭の悪いことをして目立っている。



不良の一人がゲラゲラと笑い出した。


残る二人も即座に唱和する。


わざとらしい笑い声があたりじゅうに響いた。


サーッと、ひとけが引いていく。



「つれないこと言わずにさ、おねーさん」


「一緒に遊ぼうよー」


「絶対、楽しませてあげるって」



不良たちは三人ともニキビだらけの顔をしている。


たぶん高校生だ。


よく見れば、一人はボロボロの革靴だし、別の一人は制服のズボンを穿いている。