「ちょっ、すげー美人じゃん! え、これ、度肝抜かれるって!」


「てゆーか、おねーさん、一般人? 芸能人だったりする?」



不良たちの騒ぎ方が妙に真に迫っている。本当にそんな美人?


ぼくは半信半疑で、不良たちの背後からその人をのぞき見た。


そして思わず、こっそりガッツポーズをした。



彼女は、薄い色のサングラスを外した。



日本人の美の基準からすると、個性派といえるかもしれない。


ラテン系かと思うくらいの、エキゾチックな美貌。


二重まぶたの幅が広く、長いまつげは上向きで、ヴォリュームのある唇もセクシーだ。



年齢は二十代半ば。


ぼくよりもだいぶ年上だけれど、ぼくの好みには完璧だ。


春らしい薄手のシャツは、透けそうで透けていない。



彼女は、不良三人を見据えて言い放った。



「暇だけど、きみたちじゃ失格。どんなに時間があっても、遊びたいと思える相手じゃないわね。ほかの人に声かけたらどう?」



強い。あからさまに素行の悪そうな男に囲まれたら、普通はそんなことを言えない。