「暴力女でけっこうよ。目を覚ましなさい。それとも、意識を失わせれば、そちらの『彼』の影響下から引っ張り出せるのかしら?」



愕然としていた祥之助が、わなわなと震え出す。


リアさんは背筋を伸ばして立ったまま。


その距離は危険だ。



ぼくと理仁くんが同時に地面を蹴った。ぼくのほうが速い。



「リアさん、無茶です!」



肩を抱いて引き寄せる。


その瞬間、祥之助が不格好に振り回す腕が空を切った。



「ボクを侮辱して、ただで済むと思うな! 今すぐだ。今すぐここで思い知らせてやる!」



リアさんが、なおも祥之助に批判を浴びせようとする。


ぼくは彼女を横抱きにさらってバックステップした。



祥之助が、テーブルの上のブザーを鳴らした。


レストランの入口とテラスから一斉に、黒い戦闘服の男たちが乱入してきた。