祥之助が命じると、放心状態の人々の群れがまた軋むような動きで、向かう方角を変える。
リアさんのジャケットを着た女の子が、勢いよく腕を振った。
ぼくはとっさに飛び出して、リアさんを引き寄せる。
少し遅かった。
七分袖のシャツからのぞく腕に、三筋の傷が平行に走っている。
「大丈夫ですか?」
「大したことない」
小さな悲鳴が聞こえた。
鈴蘭さんが三人に囲まれている。
が、その恐怖も一瞬。
「危ねぇんだよ、バカ」
煥くんが鈴蘭さんを小脇に抱えて救出した。
理仁くんがニヤッとする。
「あっきー、そこはお姫さま抱っこすべき」
「ふざけんな」
理仁くんの目が朱《あか》く輝く。
【じゃ、本気出そうかな!】



