「…踏み込ませないとか、そういうことじゃない気がします。これは私の当てずっぽうですが。」
「面白いね。どういうことかな?」
名桜は少しずつ、言葉を口にすることにした。知春と出会ってまだ間もない。そんなにたくさんのことを知っているわけではないし、いつでも一緒に仕事をしているわけでもない。それでも、見せてくれた面はある。
「知春さんは、…優しすぎるんですよ。だから、自分をあまり表現しないんだと思います。」
「それ、役者として大丈夫かな、あいつ。」
「役者さんは自分という役を生きるわけじゃないですよね?だからハマるんですよ。繊細な観察眼をお持ちだと思います、知春さんって。それを存分に生かして今のお仕事をしている。私にはそう見えます。」
そしてその姿は近くで見れば見るほど、吸い寄せられそうになるくらいには綺麗なのだ。
「…でも、鈍いわけだね、ある方向について君たちは。」
「君たちって、私と知春さんですか?」
「うん。」
「鈍い、ですか?どの方向に対してでしょう?」
「人の想い、という方向に対して。」
「…人の想いについて鈍い、…というのは、わかっています。」
名桜の視線が自然と下がった。たとえば、好意。単純な好意ならそれ相応にわかると思うが、それが恋や愛と呼べるものに変わるのならばもうお手上げだ。それに痛みを知った今、軽率な気持ちで踏み込みたい領域じゃない。
「見えないものだから、わからなくて難しいです。私、鈍いと思います。自分の気持ちにも、相手の気持ちにも。ファインダー越しになら、真っ直ぐに見つめられるのに…変ですよね。」
名桜は小さく笑って誤魔化すことにした。
「面白いね。どういうことかな?」
名桜は少しずつ、言葉を口にすることにした。知春と出会ってまだ間もない。そんなにたくさんのことを知っているわけではないし、いつでも一緒に仕事をしているわけでもない。それでも、見せてくれた面はある。
「知春さんは、…優しすぎるんですよ。だから、自分をあまり表現しないんだと思います。」
「それ、役者として大丈夫かな、あいつ。」
「役者さんは自分という役を生きるわけじゃないですよね?だからハマるんですよ。繊細な観察眼をお持ちだと思います、知春さんって。それを存分に生かして今のお仕事をしている。私にはそう見えます。」
そしてその姿は近くで見れば見るほど、吸い寄せられそうになるくらいには綺麗なのだ。
「…でも、鈍いわけだね、ある方向について君たちは。」
「君たちって、私と知春さんですか?」
「うん。」
「鈍い、ですか?どの方向に対してでしょう?」
「人の想い、という方向に対して。」
「…人の想いについて鈍い、…というのは、わかっています。」
名桜の視線が自然と下がった。たとえば、好意。単純な好意ならそれ相応にわかると思うが、それが恋や愛と呼べるものに変わるのならばもうお手上げだ。それに痛みを知った今、軽率な気持ちで踏み込みたい領域じゃない。
「見えないものだから、わからなくて難しいです。私、鈍いと思います。自分の気持ちにも、相手の気持ちにも。ファインダー越しになら、真っ直ぐに見つめられるのに…変ですよね。」
名桜は小さく笑って誤魔化すことにした。



