* * *
「新しいドラマの撮影が少しだけ入るけど、大学生活優先というか、留年はしないで4年で卒業したいなとは思ってるから。…とはいえ、留年して8年とかで卒業してる先輩方も結構いるから…そこは不安だけどね。」
「大きな仕事がいつ入るかわからないですもんね。」
「うん。…バランスが難しいなって。時間を大きくとられる仕事自体はありがたいけど、タイミングによっては大変になっちゃうかもしれないしね。でも、今はやる気に満ちてるよ。大学も楽しみだし。」
二人の間に春風が一度強く吹いた。前は風に靡いていた名桜の髪は、今は少し揺れるだけだ。
「あの、知春さんの勉強道具というか、そういったものを撮影するのはどうですか?」
「え?」
大学生の始まりと共に新しく増える仕事の一つである雑誌のコラム。そのスタートにもし、写真やカメラを使ってもらえるのであれば知春の大学生活に少し近くて、ファンにも知春という存在を身近に感じてもらえるものも悪くはないのではないかと思って、名桜は口を開いた。
「高級ブランドの服やバッグなどであれば…ファンも少し気後れしてしまうと思いますが、文房具とか勉強で使うものならそこまで値段が高すぎて驚くこともないですし、こういうのを使って勉強してるんだって…身近に感じてもらえるというか。あと、文房具は動かないので撮りやすいです、人間よりも!」
「確かに、俺みたいな初心者は動かないもののほうがいいかもね。…でも、あんまり持ち物にこだわりがないから…大丈夫かな、そんなので。」
「強いこだわりじゃなくていい気がします。それこそ自然体の知春さんを少しだけお見せして知ってもらう…みたいな。あ、でももちろん知春さんが知らせたくない部分もあるとは思いますので、全部を解禁してくださいって意味じゃないです!」
「うん、大丈夫。わかってるよ。」
(前よりも『見せてもいい』自分の幅は増えたように思う。…それこそ1年くらい前は何一つ、見せてもいい自分はいなかったのに。)
『俳優、伊月知春』として求められる姿だけを見せて、それ以外の素の自分を拾われてしまわないように、理由もなく固く閉ざしていたあの頃。はっきりと切り取られてしまった名桜とのはじまりの写真がふと頭の中によぎる。
「…名桜に見破られちゃったから、1年かけて俺は少しずつ、素の自分が出てきちゃうのも仕方ないかって思えるようになったのかも。」
「見破られたって…あ、最初の写真のことですか?」
「うん。…初回であれだもん、名桜って容赦ないよね。」
「…シャッターを切っただけですって…。」
「新しいドラマの撮影が少しだけ入るけど、大学生活優先というか、留年はしないで4年で卒業したいなとは思ってるから。…とはいえ、留年して8年とかで卒業してる先輩方も結構いるから…そこは不安だけどね。」
「大きな仕事がいつ入るかわからないですもんね。」
「うん。…バランスが難しいなって。時間を大きくとられる仕事自体はありがたいけど、タイミングによっては大変になっちゃうかもしれないしね。でも、今はやる気に満ちてるよ。大学も楽しみだし。」
二人の間に春風が一度強く吹いた。前は風に靡いていた名桜の髪は、今は少し揺れるだけだ。
「あの、知春さんの勉強道具というか、そういったものを撮影するのはどうですか?」
「え?」
大学生の始まりと共に新しく増える仕事の一つである雑誌のコラム。そのスタートにもし、写真やカメラを使ってもらえるのであれば知春の大学生活に少し近くて、ファンにも知春という存在を身近に感じてもらえるものも悪くはないのではないかと思って、名桜は口を開いた。
「高級ブランドの服やバッグなどであれば…ファンも少し気後れしてしまうと思いますが、文房具とか勉強で使うものならそこまで値段が高すぎて驚くこともないですし、こういうのを使って勉強してるんだって…身近に感じてもらえるというか。あと、文房具は動かないので撮りやすいです、人間よりも!」
「確かに、俺みたいな初心者は動かないもののほうがいいかもね。…でも、あんまり持ち物にこだわりがないから…大丈夫かな、そんなので。」
「強いこだわりじゃなくていい気がします。それこそ自然体の知春さんを少しだけお見せして知ってもらう…みたいな。あ、でももちろん知春さんが知らせたくない部分もあるとは思いますので、全部を解禁してくださいって意味じゃないです!」
「うん、大丈夫。わかってるよ。」
(前よりも『見せてもいい』自分の幅は増えたように思う。…それこそ1年くらい前は何一つ、見せてもいい自分はいなかったのに。)
『俳優、伊月知春』として求められる姿だけを見せて、それ以外の素の自分を拾われてしまわないように、理由もなく固く閉ざしていたあの頃。はっきりと切り取られてしまった名桜とのはじまりの写真がふと頭の中によぎる。
「…名桜に見破られちゃったから、1年かけて俺は少しずつ、素の自分が出てきちゃうのも仕方ないかって思えるようになったのかも。」
「見破られたって…あ、最初の写真のことですか?」
「うん。…初回であれだもん、名桜って容赦ないよね。」
「…シャッターを切っただけですって…。」



