* * *
卒業式から2日経った日曜。知春のスマートフォンが震えた。今日は一日オフで、家で雑誌のコラム用の文章を考えようと思っていたところだった。
メッセージが1件。画面をタップしていくと、まさかの人物からの連絡だった。
『お忙しいところ、すみません。知春さんがお時間のあるときで構いませんので、話をすることはできますか?』
(どう返すのがいいんだろう…今日は一日オフだけど、今日もらった連絡に今日でって返すの…どうなのかな。困らせる?)
きっと名桜は『今日』と言われるとは想定していないだろう。それに、話と言われると知春にも緊張が走る。一体自分は何を言われるのだろうか。好きではないから、もう話さないなんて言われたらその後はどうしたらいいのだろう。そんなことを考え始めると、話を聞かなくて済む期間を延ばした方が自分のためになるのでは、とさえ思えてくる。しかし、そこまで考えて知春は首を振った。
(…って、最低だな、考え方が。嫌いとは…言われないと思うけど、恋愛的な意味で好きではないって言われることも覚悟の上で言ったはずなのに。)
『名桜の話、聞きたい。今日は一日オフで、別の日だと名桜のところに行く予定のある時だと時間が作れそう。2週間後かな、撮影は。別の撮影の後にスタジオに寄れそうな日もあるから、いくつか出そうか?』
結局、ごちゃごちゃ考えていたことよりも『会って話がしたい』という素直な気持ちに負けて、気付けばそう返していた。すぐに既読がついたということは、名桜は今スマートフォンを持っているということなのだろう。だとすれば、電話をしたら声が聞ける。
『名桜、今電話に出れる状況だったりする?』
『はい。今休憩中で、1時間後に撮影再開です。』
『じゃあ、電話かけてもいいかな?』
しばらくの間があった後、名桜の方から電話がかかってきた。
「名桜?」
「お休みの日にすみません、時間を作っていただいて。」
卒業式の日よりもはっきりした声に、少しだけ安堵した。知春は小さく息を吸った。
「ううん。日程だよね。えっと…。」
「あの、知春さんが良ければ、今日でもいいですか?」
「え…?」
「オフの日にこんなことをお願いするのは申し訳ないのですが…先延ばしにするのも…申し訳なくて…。」
ということは、名桜の中では何かが固まったということなのだろう。だとすれば、知春は聞く以外の選択肢を持てない。
卒業式から2日経った日曜。知春のスマートフォンが震えた。今日は一日オフで、家で雑誌のコラム用の文章を考えようと思っていたところだった。
メッセージが1件。画面をタップしていくと、まさかの人物からの連絡だった。
『お忙しいところ、すみません。知春さんがお時間のあるときで構いませんので、話をすることはできますか?』
(どう返すのがいいんだろう…今日は一日オフだけど、今日もらった連絡に今日でって返すの…どうなのかな。困らせる?)
きっと名桜は『今日』と言われるとは想定していないだろう。それに、話と言われると知春にも緊張が走る。一体自分は何を言われるのだろうか。好きではないから、もう話さないなんて言われたらその後はどうしたらいいのだろう。そんなことを考え始めると、話を聞かなくて済む期間を延ばした方が自分のためになるのでは、とさえ思えてくる。しかし、そこまで考えて知春は首を振った。
(…って、最低だな、考え方が。嫌いとは…言われないと思うけど、恋愛的な意味で好きではないって言われることも覚悟の上で言ったはずなのに。)
『名桜の話、聞きたい。今日は一日オフで、別の日だと名桜のところに行く予定のある時だと時間が作れそう。2週間後かな、撮影は。別の撮影の後にスタジオに寄れそうな日もあるから、いくつか出そうか?』
結局、ごちゃごちゃ考えていたことよりも『会って話がしたい』という素直な気持ちに負けて、気付けばそう返していた。すぐに既読がついたということは、名桜は今スマートフォンを持っているということなのだろう。だとすれば、電話をしたら声が聞ける。
『名桜、今電話に出れる状況だったりする?』
『はい。今休憩中で、1時間後に撮影再開です。』
『じゃあ、電話かけてもいいかな?』
しばらくの間があった後、名桜の方から電話がかかってきた。
「名桜?」
「お休みの日にすみません、時間を作っていただいて。」
卒業式の日よりもはっきりした声に、少しだけ安堵した。知春は小さく息を吸った。
「ううん。日程だよね。えっと…。」
「あの、知春さんが良ければ、今日でもいいですか?」
「え…?」
「オフの日にこんなことをお願いするのは申し訳ないのですが…先延ばしにするのも…申し訳なくて…。」
ということは、名桜の中では何かが固まったということなのだろう。だとすれば、知春は聞く以外の選択肢を持てない。



