* * *
朝食は何とか父と食べ、仕事に向かう父を見送り、名桜はと言えば自分で作成していたアルバムを手に取って眺めていた。ただ、自分が残していた風景の半分くらいには知春との思い出があり、それを思うとまた息苦しくて、名桜は自分の胸のあたりの服をぎゅっと握った。
そんな時、名桜のスマートフォンがぶるぶると震えた。着信は彩羽だった。
「もしもし!」
『あ、なっちゃん?いきなり電話しちゃってごめんね。何してるかなーって思って。』
「彩羽さん…」
『お、あれ?なんか元気ない?どうしたどうした~?』
とんでもないタイミングの電話で、彩羽の声を聞いて心の奥がどっと緩むのを感じる。
「…どうも、してないんですけど…。」
『はい嘘~!なっちゃんは正直者なんだから、声でわかっちゃうよ。ところでなっちゃん、今日仕事?』
「い、いえ…その…父に任せてサボってしまいました…。」
『あ、そうなんだ。珍しいね!ってそれだけ一大事ってことじゃん。私さ、今日オフなんだよね。だから、なっちゃんがいるならスタジオ行って、隙間があったらお茶でもしたいなって思って連絡したんだけど、もしかしてオフ?』
「…オフ、…というか、サボりです、正しく言えば。」
『よし!じゃあ私とお茶しよう!行ってみたいパン屋さんがあるんだけど、イートインもできるみたいだからそこで何か食べない?』
「…あの、私…。」
『うん。』
名桜は洗面台まで行き、自分の顔を見つめる。あまり眠れなかったため顔色もよくはないし、泣いたのもあって目はやや腫れぼったい。そんな顔を見て、自然にため息が出た。
「…結構、酷い顔をしてまして…。」
『気にしないよー』
「…でも、彩羽さんがその…恥をかいてしまうかもしれませんし…。」
『あ、そんなこと?じゃあさ、なっちゃん、うちの事務所まで来れる?』
「えっと、それは…はい。」
『うちの事務所で待ち合わせしようよ。私がメイクしてあげる。なっちゃんは着替えてマスクしてすっぴんでおいで。うちの事務所からパン屋さんはすぐだから効率もいいと思うんだよね。』
「…そんなに色々、いいんですか?ご迷惑じゃ…。」
『全然!それに、なっちゃんが困ってるってことはよっぽどのことだろうし。何があったかわかんないけど、んー…でも、昨日ってさ、ちーちゃんの卒業式じゃなかった?』
いきなり確信をつく質問に、名桜の胸がドキリと音を立てた。
朝食は何とか父と食べ、仕事に向かう父を見送り、名桜はと言えば自分で作成していたアルバムを手に取って眺めていた。ただ、自分が残していた風景の半分くらいには知春との思い出があり、それを思うとまた息苦しくて、名桜は自分の胸のあたりの服をぎゅっと握った。
そんな時、名桜のスマートフォンがぶるぶると震えた。着信は彩羽だった。
「もしもし!」
『あ、なっちゃん?いきなり電話しちゃってごめんね。何してるかなーって思って。』
「彩羽さん…」
『お、あれ?なんか元気ない?どうしたどうした~?』
とんでもないタイミングの電話で、彩羽の声を聞いて心の奥がどっと緩むのを感じる。
「…どうも、してないんですけど…。」
『はい嘘~!なっちゃんは正直者なんだから、声でわかっちゃうよ。ところでなっちゃん、今日仕事?』
「い、いえ…その…父に任せてサボってしまいました…。」
『あ、そうなんだ。珍しいね!ってそれだけ一大事ってことじゃん。私さ、今日オフなんだよね。だから、なっちゃんがいるならスタジオ行って、隙間があったらお茶でもしたいなって思って連絡したんだけど、もしかしてオフ?』
「…オフ、…というか、サボりです、正しく言えば。」
『よし!じゃあ私とお茶しよう!行ってみたいパン屋さんがあるんだけど、イートインもできるみたいだからそこで何か食べない?』
「…あの、私…。」
『うん。』
名桜は洗面台まで行き、自分の顔を見つめる。あまり眠れなかったため顔色もよくはないし、泣いたのもあって目はやや腫れぼったい。そんな顔を見て、自然にため息が出た。
「…結構、酷い顔をしてまして…。」
『気にしないよー』
「…でも、彩羽さんがその…恥をかいてしまうかもしれませんし…。」
『あ、そんなこと?じゃあさ、なっちゃん、うちの事務所まで来れる?』
「えっと、それは…はい。」
『うちの事務所で待ち合わせしようよ。私がメイクしてあげる。なっちゃんは着替えてマスクしてすっぴんでおいで。うちの事務所からパン屋さんはすぐだから効率もいいと思うんだよね。』
「…そんなに色々、いいんですか?ご迷惑じゃ…。」
『全然!それに、なっちゃんが困ってるってことはよっぽどのことだろうし。何があったかわかんないけど、んー…でも、昨日ってさ、ちーちゃんの卒業式じゃなかった?』
いきなり確信をつく質問に、名桜の胸がドキリと音を立てた。



