「名桜に出会ってから…もうちょっとで1年、か。」
「…そう、なりますね。」
「もうそんなに経ったって感じ?それとも、まだそんなもんかーって感じ?」
「う…難しい質問ですね。1年自体は早かったなと思いましたが、でもまだ1年しか経ってない…それもまた不思議な感じがします。」
「どういうこと?」
名桜は少しだけ深呼吸をした。そして知春の隣に、距離を詰める。リナリアにカメラを向け、シャッターを切りながら名桜は口を開いた。
「1年の中で、知春さんと過ごした時間がそれこそクラスのみんなみたいに長かったわけじゃないのに、…そうですね、一つひとつがちゃんと思い出のアルバムみたいに刻まれていて、はっきりと思い出せます。…私の恥ずかしい面も知られてしまっているのでそこは…忘れてほしいですけど…。」
「忘れられないよ。…それを言ったら俺も似たような恥ずかしいところ、見せちゃってるし。…名桜以外には見せてないものも話してないこともある。…不思議と話せちゃったんだよなぁ。」
しゃがんで撮影する名桜の高さに、知春も下りてきた。名桜がカメラを下ろすと目は自然に合った。
「『この恋に気付いて』、それがリナリアの花言葉。初めて知ったときは名桜に撮ってもらったあとだったけど、驚いたよ。誰にも言えない気持ちを抱えていたことまで見透かされたんじゃ困るって、少し焦りもした。でも…。」
知春がすっと立ち上がり、少しだけ遠くの空に視線を向けた。
「文化祭の写真に添えてあった言葉、優しくて、…好きだな、って思った。」
名桜も忘れてはいなかった。それこそ写真につけるタイトルにも、少しだけ残すコメントにもこだわりはある。知春のことを『仕事』ではなく、『個人』として撮った最初のあの日の写真に込める思いは、撮った4月よりも形にした9月の方が大きくなってしまっていたから。
『いつかあなたに振り向く人がいます。この手の持ち主にもきっと誰かが恋をします』
これから自分の体験したことのない『両想い』を演技で表現する知春の俳優としての背中を押したい。あなたが見せてくれる両想いの演技に心惹かれる人はいる。そしていつかきっと、知春自身を好きになる人が現れる。その人が、知春のことを同じように好きになるだろうという確信めいた気持ちも入っていた。
「…そう、なりますね。」
「もうそんなに経ったって感じ?それとも、まだそんなもんかーって感じ?」
「う…難しい質問ですね。1年自体は早かったなと思いましたが、でもまだ1年しか経ってない…それもまた不思議な感じがします。」
「どういうこと?」
名桜は少しだけ深呼吸をした。そして知春の隣に、距離を詰める。リナリアにカメラを向け、シャッターを切りながら名桜は口を開いた。
「1年の中で、知春さんと過ごした時間がそれこそクラスのみんなみたいに長かったわけじゃないのに、…そうですね、一つひとつがちゃんと思い出のアルバムみたいに刻まれていて、はっきりと思い出せます。…私の恥ずかしい面も知られてしまっているのでそこは…忘れてほしいですけど…。」
「忘れられないよ。…それを言ったら俺も似たような恥ずかしいところ、見せちゃってるし。…名桜以外には見せてないものも話してないこともある。…不思議と話せちゃったんだよなぁ。」
しゃがんで撮影する名桜の高さに、知春も下りてきた。名桜がカメラを下ろすと目は自然に合った。
「『この恋に気付いて』、それがリナリアの花言葉。初めて知ったときは名桜に撮ってもらったあとだったけど、驚いたよ。誰にも言えない気持ちを抱えていたことまで見透かされたんじゃ困るって、少し焦りもした。でも…。」
知春がすっと立ち上がり、少しだけ遠くの空に視線を向けた。
「文化祭の写真に添えてあった言葉、優しくて、…好きだな、って思った。」
名桜も忘れてはいなかった。それこそ写真につけるタイトルにも、少しだけ残すコメントにもこだわりはある。知春のことを『仕事』ではなく、『個人』として撮った最初のあの日の写真に込める思いは、撮った4月よりも形にした9月の方が大きくなってしまっていたから。
『いつかあなたに振り向く人がいます。この手の持ち主にもきっと誰かが恋をします』
これから自分の体験したことのない『両想い』を演技で表現する知春の俳優としての背中を押したい。あなたが見せてくれる両想いの演技に心惹かれる人はいる。そしていつかきっと、知春自身を好きになる人が現れる。その人が、知春のことを同じように好きになるだろうという確信めいた気持ちも入っていた。



