「んじゃ知春、お疲れ。」
「はい。わざわざ来てくださってありがとうございます。」
「なーに言ってんだよ。可愛い後輩の雄姿は見に来るって。」
知春の背が軽くポンと叩かれる。その上原の目線は名桜に移った。
「麻倉さんも帰る?」
「は、はい!長居はお邪魔になっちゃいますし…。」
「んじゃ俺と行こう。」
「あ、名桜。」
「はい。」
知春に呼び止められる。少し視線を上に向けると、再び目が合った。
「…今日は仕事はオフ?」
「はい。」
「わかった。…今日はありがとう、本当に。」
「いえっ!こちらこそ素敵な作品をありがとうございました。」
名桜は知春と彩羽、二人に頭を下げる。顔を上げると明るい笑顔の彩羽が、名桜をぎゅっと抱きしめた。
「あーやっぱりなっちゃんとまたすぐ一緒に仕事したいなー。なっちゃんのところでの撮影が決まったらまたすぐ連絡するね!」
「はい、お待ちしてます。」
「よーし、じゃあこっそり帰ろう。車で送って行こうか?」
「いえっ!そんな危ないこと、させられません!出口までご一緒させていただければ帰れます!」
「そう?」
「上原さんは俳優なんですよ!万が一のことも考えてくださいね。」
「そっかそっか。ちゃんとしてるなー麻倉さん。」
「…普通ですよ。私と皆さんは違いますから。」
名桜は彩羽と知春の方を向いた。こうやってこの3人に囲まれていることの方が普通じゃないということは、ちゃんとわかっている。
「今日はありがとうございました。失礼します。」
「またね、なっちゃん!」
「ありがとう。」
舞台挨拶はまだある。知春はまだまだ忙しい。手を煩わせてはいけない。さっきの知春の真剣な表情がやけに脳裏に焼き付いて、ただその表情の意味がわからなくて、なんだかしこりのように言い表せない気持ちが名桜の心に残る。
(…何か、言いたいことが…他にもあった、のかな?)
「はい。わざわざ来てくださってありがとうございます。」
「なーに言ってんだよ。可愛い後輩の雄姿は見に来るって。」
知春の背が軽くポンと叩かれる。その上原の目線は名桜に移った。
「麻倉さんも帰る?」
「は、はい!長居はお邪魔になっちゃいますし…。」
「んじゃ俺と行こう。」
「あ、名桜。」
「はい。」
知春に呼び止められる。少し視線を上に向けると、再び目が合った。
「…今日は仕事はオフ?」
「はい。」
「わかった。…今日はありがとう、本当に。」
「いえっ!こちらこそ素敵な作品をありがとうございました。」
名桜は知春と彩羽、二人に頭を下げる。顔を上げると明るい笑顔の彩羽が、名桜をぎゅっと抱きしめた。
「あーやっぱりなっちゃんとまたすぐ一緒に仕事したいなー。なっちゃんのところでの撮影が決まったらまたすぐ連絡するね!」
「はい、お待ちしてます。」
「よーし、じゃあこっそり帰ろう。車で送って行こうか?」
「いえっ!そんな危ないこと、させられません!出口までご一緒させていただければ帰れます!」
「そう?」
「上原さんは俳優なんですよ!万が一のことも考えてくださいね。」
「そっかそっか。ちゃんとしてるなー麻倉さん。」
「…普通ですよ。私と皆さんは違いますから。」
名桜は彩羽と知春の方を向いた。こうやってこの3人に囲まれていることの方が普通じゃないということは、ちゃんとわかっている。
「今日はありがとうございました。失礼します。」
「またね、なっちゃん!」
「ありがとう。」
舞台挨拶はまだある。知春はまだまだ忙しい。手を煩わせてはいけない。さっきの知春の真剣な表情がやけに脳裏に焼き付いて、ただその表情の意味がわからなくて、なんだかしこりのように言い表せない気持ちが名桜の心に残る。
(…何か、言いたいことが…他にもあった、のかな?)



