* * *
「椋花、何見てんの?」
「ん-…稼げそうなバイト探してるの。」
椋花も拓実も専門学校に進むことが決まっている。大学受験組よりも早く進路が決定したことによって今年のクリスマスはどうなんだろうと、淡い期待を寄せる拓実のことなど全く気付かず、椋花はスマートフォンの画面をスクロールした。
「なんで?金が必要?」
「専門学校って2年でしょ?実習とか授業とか、隙間なく組み込まれてるからバイトがっつり入るの難しそうで。だから単発を繋いで稼いでいこうかなって。」
「何に使うんだよ?」
「舞台とか観に行こうと思ってて。そういう人たちのヘアメイクに携わりたいから。」
文化祭で告白したあの日から、気まずかったのは1週間だけですぐに元に戻った。それは進路関係でバタついていてそれどころではなかったこともあるし、ただ単に答えを出せないでいるからでもあった。拓実のことは嫌いじゃない。でもその気持ちを裏返しても、『嫌いじゃない』は『恋愛としての好き』にはならない。そんな気がした。
「…ふぅん。あのさ、それってたとえば。」
「うん。」
椋花は顔を上げて拓実の方を見た。休み時間もガリガリと勉強をする人と、椋花たちのように早く進路が決まった人に分かれている今、進路が決定した側の二人は教室を出てあてもなくふらふらと歩いて、屋上前の階段に腰を下ろして時間を潰していた。
「卒業後俺が、一緒に観に行きてぇんだけどって言ったら、行ってくれんの?」
「えっ…。」
進路はどうするのか、話したことはあった。しかし卒業後の話はしたことがなかった。突然出された『卒業後』という時間軸が、そう遠くないものだということに気付いて、椋花はっとした。
「…ってか、俺、今年のクリスマスは一緒に過ごせっかなーと思ってたのに。」
「え、えっ!?」
「だって受験終わってるし、時間あるじゃん。あと、急かすつもりはねぇけど、聞くつもりはあるから。答え。」
答えというのが、数学のようにたった一つだったら椋花にだって導き出せる。しかし、拓実が訊いてるのはそういう類の答えではない。
「椋花、何見てんの?」
「ん-…稼げそうなバイト探してるの。」
椋花も拓実も専門学校に進むことが決まっている。大学受験組よりも早く進路が決定したことによって今年のクリスマスはどうなんだろうと、淡い期待を寄せる拓実のことなど全く気付かず、椋花はスマートフォンの画面をスクロールした。
「なんで?金が必要?」
「専門学校って2年でしょ?実習とか授業とか、隙間なく組み込まれてるからバイトがっつり入るの難しそうで。だから単発を繋いで稼いでいこうかなって。」
「何に使うんだよ?」
「舞台とか観に行こうと思ってて。そういう人たちのヘアメイクに携わりたいから。」
文化祭で告白したあの日から、気まずかったのは1週間だけですぐに元に戻った。それは進路関係でバタついていてそれどころではなかったこともあるし、ただ単に答えを出せないでいるからでもあった。拓実のことは嫌いじゃない。でもその気持ちを裏返しても、『嫌いじゃない』は『恋愛としての好き』にはならない。そんな気がした。
「…ふぅん。あのさ、それってたとえば。」
「うん。」
椋花は顔を上げて拓実の方を見た。休み時間もガリガリと勉強をする人と、椋花たちのように早く進路が決まった人に分かれている今、進路が決定した側の二人は教室を出てあてもなくふらふらと歩いて、屋上前の階段に腰を下ろして時間を潰していた。
「卒業後俺が、一緒に観に行きてぇんだけどって言ったら、行ってくれんの?」
「えっ…。」
進路はどうするのか、話したことはあった。しかし卒業後の話はしたことがなかった。突然出された『卒業後』という時間軸が、そう遠くないものだということに気付いて、椋花はっとした。
「…ってか、俺、今年のクリスマスは一緒に過ごせっかなーと思ってたのに。」
「え、えっ!?」
「だって受験終わってるし、時間あるじゃん。あと、急かすつもりはねぇけど、聞くつもりはあるから。答え。」
答えというのが、数学のようにたった一つだったら椋花にだって導き出せる。しかし、拓実が訊いてるのはそういう類の答えではない。



