「お父さん?」
「はい。葉月さんは、父の師匠でして。だから、撮影の隙間に色々な話をしてくれます。その一つが、自分の行ったロケ地を撮影して残しておくことです。元々葉月さんが行っていたことを父が真似し、私も真似したいなと思って始めました。」
「葉月さんと結構ずっと話してるなって思ってたけど、そういう話をしてたんだ。」
「あっ、声とか大きすぎましたか?邪魔になってたりは…。」
「してないしてない。その辺は葉月さんが現場慣れしてるし、ちゃんと名桜と話せるタイミングで話してると思うよ。それで、そのロケ地の撮影には、どういう意図が隠れてるの?」
今日の知春は質問攻めだ。名桜は少し考えてから口を開く。
「父のように私も、いつか誰かの写真集を撮れるくらいになりたい、と…思いまして。」
「写真集?」
名桜は静かに頷いた。
「父は、母の最後の写真集のカメラマンです。その時に撮影する場所は、父がたくさん撮っていた、父が訪れたことのあるロケ地の写真をためたファイルから選出したそうです。その中から母も映画やドラマでお世話になった土地が中心に選ばれたようで、…その、これは、微妙にプライベートな話になってしまうかもしれないんですが…父が作ったファイルを二人で眺めながら話していた姿が、微笑ましかったと葉月さんは仰っていました。自分がメインカメラマンになって何をしたいかということを…今まであまり考えてきませんでしたし、父と母のそういった姿を私が見ることはできませんが、でも…。」
「想像したら、いいなって…思った?」
知春がスムーズに繋げてくれた言葉に、名桜は静かに頷いた。
「そういう作品作りが素敵だなと、…思います。とても。今の私では到底無理な話ですが、でもいつか、誰かと向き合ってそういう作品が作れたらいいなと思っています。そのための第一歩、といったところです。」
「なるほど。名桜は次のやりたいことを見つけたんだ。」
「少しだけですよ。知春さんには遠く及びません。」
「え?」
名桜はカメラから手を離して、知春の方を向いて口を開いた。
「恋に落ちた瞬間の表情も、想いを告げられなくて苦しそうな表情も全部、『本物』でした。お芝居だってことを忘れてしまうくらい。普段、こうやって私とお話してくださる知春さんもちゃんと本物だって思ってますけど、あの場には知春さんだけど『大和』という本物がいました。」
「はい。葉月さんは、父の師匠でして。だから、撮影の隙間に色々な話をしてくれます。その一つが、自分の行ったロケ地を撮影して残しておくことです。元々葉月さんが行っていたことを父が真似し、私も真似したいなと思って始めました。」
「葉月さんと結構ずっと話してるなって思ってたけど、そういう話をしてたんだ。」
「あっ、声とか大きすぎましたか?邪魔になってたりは…。」
「してないしてない。その辺は葉月さんが現場慣れしてるし、ちゃんと名桜と話せるタイミングで話してると思うよ。それで、そのロケ地の撮影には、どういう意図が隠れてるの?」
今日の知春は質問攻めだ。名桜は少し考えてから口を開く。
「父のように私も、いつか誰かの写真集を撮れるくらいになりたい、と…思いまして。」
「写真集?」
名桜は静かに頷いた。
「父は、母の最後の写真集のカメラマンです。その時に撮影する場所は、父がたくさん撮っていた、父が訪れたことのあるロケ地の写真をためたファイルから選出したそうです。その中から母も映画やドラマでお世話になった土地が中心に選ばれたようで、…その、これは、微妙にプライベートな話になってしまうかもしれないんですが…父が作ったファイルを二人で眺めながら話していた姿が、微笑ましかったと葉月さんは仰っていました。自分がメインカメラマンになって何をしたいかということを…今まであまり考えてきませんでしたし、父と母のそういった姿を私が見ることはできませんが、でも…。」
「想像したら、いいなって…思った?」
知春がスムーズに繋げてくれた言葉に、名桜は静かに頷いた。
「そういう作品作りが素敵だなと、…思います。とても。今の私では到底無理な話ですが、でもいつか、誰かと向き合ってそういう作品が作れたらいいなと思っています。そのための第一歩、といったところです。」
「なるほど。名桜は次のやりたいことを見つけたんだ。」
「少しだけですよ。知春さんには遠く及びません。」
「え?」
名桜はカメラから手を離して、知春の方を向いて口を開いた。
「恋に落ちた瞬間の表情も、想いを告げられなくて苦しそうな表情も全部、『本物』でした。お芝居だってことを忘れてしまうくらい。普段、こうやって私とお話してくださる知春さんもちゃんと本物だって思ってますけど、あの場には知春さんだけど『大和』という本物がいました。」



