* * *
「次、この扉絵の背中合わせの構図でお願いします。」
「はーいっ!」
「名桜。」
「はい。」
「もう一回見せてもらってもいい、扉絵。」
「はい、こちらです。」
クリアポケットのあるファイルを開いた名桜の横に、知春は立つ。扉絵をじっと見つめた後、知春は少し遠くを眺めている。しばらく考えた後に、知春は名桜に向き直った。
「名桜。俺と彩羽さんの身長差だと、多分この視線の感じにするためにはもう少し調整がいる気がするから、先に彩羽さんの目線を固定してもらって、その後に俺の視線の調整、言ってもらえる?」
「えっ、私が指示するんですか?」
「だってここは二人で背中合わせだし、二人が振り返りたいけど返れない状態で、でも目線の先だけでは交わるものが欲しいから、それを見れるのは名桜だけだよ。」
「先に私が目線の位置決めたらいいんだよね?やろやろ!」
彩羽が足早にセットに戻っていく。知春に背を向け、彩羽の背に少しだけ触れるように知春が立った。
「背中は少しスペースあった方がいいんだっけ?」
「ちょっと僕の方にもたれるというか、体重預ける感じにします?原作の絵だと少し隙間がありますが、『背中合わせの恋心』を表すならくっついててもいいかなって。」
「『背中合わせの恋心』?」
「はい。この扉絵が使われている話のサブタイトルがそれでした。大和が恋心を自覚する回なので。」
「なるほど。だったら大和が杏に寄って来る方が自然かも。だってまだ杏は気付いてないでしょ?だけど大和が距離を詰めてくるときがあって、距離を測りかねてるから。」
「…そうですね。大和から寄っていく感じで。」
「うん。あ、そうそう。そんな感じ。」
背中に触れた感触が、彩羽的に丁度イメージ通りだったようだ。彩羽はすぅっと息を吸って、吐き出すと少し左後方を意識するような視線を作り出す。それに呼応するように知春も、背中にいる『杏』を意識する。少しだけ愛しさののった表情に、名桜はカメラを構えた。
「次、この扉絵の背中合わせの構図でお願いします。」
「はーいっ!」
「名桜。」
「はい。」
「もう一回見せてもらってもいい、扉絵。」
「はい、こちらです。」
クリアポケットのあるファイルを開いた名桜の横に、知春は立つ。扉絵をじっと見つめた後、知春は少し遠くを眺めている。しばらく考えた後に、知春は名桜に向き直った。
「名桜。俺と彩羽さんの身長差だと、多分この視線の感じにするためにはもう少し調整がいる気がするから、先に彩羽さんの目線を固定してもらって、その後に俺の視線の調整、言ってもらえる?」
「えっ、私が指示するんですか?」
「だってここは二人で背中合わせだし、二人が振り返りたいけど返れない状態で、でも目線の先だけでは交わるものが欲しいから、それを見れるのは名桜だけだよ。」
「先に私が目線の位置決めたらいいんだよね?やろやろ!」
彩羽が足早にセットに戻っていく。知春に背を向け、彩羽の背に少しだけ触れるように知春が立った。
「背中は少しスペースあった方がいいんだっけ?」
「ちょっと僕の方にもたれるというか、体重預ける感じにします?原作の絵だと少し隙間がありますが、『背中合わせの恋心』を表すならくっついててもいいかなって。」
「『背中合わせの恋心』?」
「はい。この扉絵が使われている話のサブタイトルがそれでした。大和が恋心を自覚する回なので。」
「なるほど。だったら大和が杏に寄って来る方が自然かも。だってまだ杏は気付いてないでしょ?だけど大和が距離を詰めてくるときがあって、距離を測りかねてるから。」
「…そうですね。大和から寄っていく感じで。」
「うん。あ、そうそう。そんな感じ。」
背中に触れた感触が、彩羽的に丁度イメージ通りだったようだ。彩羽はすぅっと息を吸って、吐き出すと少し左後方を意識するような視線を作り出す。それに呼応するように知春も、背中にいる『杏』を意識する。少しだけ愛しさののった表情に、名桜はカメラを構えた。



