「手がね、かすかに触れる。そういうシーンがあるんだ。それは、俺の役がちょっと触れたくて、でも偶然に見せかけたくて仕掛ける駆け引きみたいなものなんだって。」
「…手は、敏感なので。確かに不意に触れると少しドキッとします。」
「そういう駆け引きをしていた子がさ、告白して抱きしめて、両想いを満喫して、トラブルにも立ち向かう。…これが王道。王道が、俺には本当に難しいよ。」
知春は少しずつ黒く染まる空を見上げながら呟いた。
「来週からですよね。リーディングはスケジュールが合わずに参加できませんでしたが、衣装合わせには間に合うので参加します。」
「そのあとポスター撮影だったもんね。名桜が撮ってくれるの?」
「…どうでしょう。私はあくまで勉強させていただく身なので。」
「カメラ、持ってくるんだよね?」
「はい。私は主にSNSとパンフレットなどに使えるオフショットを撮るのがメインのようです。知春さんと、兼坂彩羽(かねさかいろは)さんのお二人と年齢が近いから、オフショットも撮りやすいのではと判断された、と父が言っていました。」
「そっか。」
ふぅと小さく、知春は息を吐いた。
「兼坂さん、すっごい元気な人だった。」
「リーディング、どうでした?」
「セリフ読み始める前までは本当に元気で明るくて、…当たり前だけど、少し引っ込み思案な役をやるトーンなんかじゃ全くなくて、パワーに圧倒されてたんだけど、すごいね。」
「すごい?」
知春は頷いた。
「声も表情もころころ変わって、あぁ、これが恋をする表情かってわかる顔をしてて…のまれるかもって、初めて思った。」
「本来は元気な方なんですね。撮影させていただいたことがないので、どんな方なのかなと思っていたんですけど。」
「俺の2つ年上なんだって。よく話すし、…変なあだ名もつけるし、名桜も絶対つけられるよ。」
「あだ名をつける…?」
知春はうん、と頷いて再び口を開いた。
「…手は、敏感なので。確かに不意に触れると少しドキッとします。」
「そういう駆け引きをしていた子がさ、告白して抱きしめて、両想いを満喫して、トラブルにも立ち向かう。…これが王道。王道が、俺には本当に難しいよ。」
知春は少しずつ黒く染まる空を見上げながら呟いた。
「来週からですよね。リーディングはスケジュールが合わずに参加できませんでしたが、衣装合わせには間に合うので参加します。」
「そのあとポスター撮影だったもんね。名桜が撮ってくれるの?」
「…どうでしょう。私はあくまで勉強させていただく身なので。」
「カメラ、持ってくるんだよね?」
「はい。私は主にSNSとパンフレットなどに使えるオフショットを撮るのがメインのようです。知春さんと、兼坂彩羽(かねさかいろは)さんのお二人と年齢が近いから、オフショットも撮りやすいのではと判断された、と父が言っていました。」
「そっか。」
ふぅと小さく、知春は息を吐いた。
「兼坂さん、すっごい元気な人だった。」
「リーディング、どうでした?」
「セリフ読み始める前までは本当に元気で明るくて、…当たり前だけど、少し引っ込み思案な役をやるトーンなんかじゃ全くなくて、パワーに圧倒されてたんだけど、すごいね。」
「すごい?」
知春は頷いた。
「声も表情もころころ変わって、あぁ、これが恋をする表情かってわかる顔をしてて…のまれるかもって、初めて思った。」
「本来は元気な方なんですね。撮影させていただいたことがないので、どんな方なのかなと思っていたんですけど。」
「俺の2つ年上なんだって。よく話すし、…変なあだ名もつけるし、名桜も絶対つけられるよ。」
「あだ名をつける…?」
知春はうん、と頷いて再び口を開いた。



