リナリア

 そうはっきりと言ったのは、拓実ではなく椋花だった。

「知春は芸能人になってもならなくても、大事な友達だから。」
「うん。ありがとう、椋花。」
「とりあえず出店が多い外行こう。室内の喫茶系はちょっと時間足りなさそうだし。」
「うん。」

(…友達って、それでいいのかよ。本当に。)

「たくー?」
「置いてくよ。」
「はいはい。追いつきますよっと。」

 椋花の笑顔に嘘はなかった。無理しているようにも、少なくとも拓実には見えなかった。だとすればあれは本音だ。だが、そうすると今までの知春への恋心はどうなったのかという疑問が拭えない。

(おーい、こんなテンションで劇出るとか想定外なんだがー?)

 そもそも椋花が望めば二人きりにしてやるつもりだった。それなのに、椋花も知春も3人を望んだ。そして大事な友達宣言ときた。

(…知春のことが好きじゃなくなった?いやいや、それはないだろ。)

 そんなに簡単に人を好きになったり、そうではなくなったりするタイプではないことは2年見続けてきて知っていた。想いが叶わないからといって捨てるという人間でもない。

「拓実。」
「あ?うん、何?」
「何か、変なこと考えてない?」
「悩み事?あんまり俺じゃ力になれないと思うけど、聞き役程度なら…。」

(お前らのこと考えてましたなんて言えるか!)

「悩みでも変なことでもなく、真剣に何食おうか考えてただけ。」
「あっそ。じゃあ心配して損した。で、候補は?」
「たこ焼きかお好み焼き。」
「みんなで分けれるし、いろんな味試そうよ。少しずつ、いろんな味食べたい。」
「いいね。知春が並んだら騒動になりそうだから、私と拓実で役割分担しよ。」
「え、並ぶくらい大丈夫じゃない?生徒しかいない日だし。」
「サインくださいだの握手してくださいだの絡まれたらめんどくね?知春はてきとーに座れるとこ探しといて。」
「…ん-申し訳ないけど、わかった。じゃあ見つけたら連絡するね。」
「うん。じゃ、行こ、拓実。」
「はいはい。」