リナリア

『この恋に気付いて』それがリナリアの花言葉だそうです。
いつかあなたに振り向く人がいます。この手の持ち主にもきっと誰かが恋をします。

 パネルの下に添えられたメッセージ。手の持ち主である知春は、その写真に手を触れかけそうになったところで、はっと手を落とした。

「へぇ、名桜ちゃんってこういうコメント書くんだ。ちょっと意外だな。」
「花言葉を調べているあたり、真面目ね、本当に。」
「うん。名桜は真面目でまっすぐで、…すごいんだよね、本当に。」

 写真から伝わる、名桜の想い。知春は手を小さくぐっと握って、気持ちを奮い立たせる。

「さて、そろそろ腹ごしらえ用にお店、見て回ろうよ。選んで食べてってしてたらあっという間に時間にならない?」
「それもそうだな。椋花、何食べたい?」
「まず私からなの?」
「とりあえず案出してって。だって知春、全然食に興味ねーじゃん。」
「それはそうなんだけど。うーん…じゃあクレープとかそういうスイーツ系。」
「スイーツはラストな。んじゃ次!」
「案出せって言うから出したのに!次は拓実が出しなさいよね。」

 二人のやり取りに、知春はくすっと笑った。そんな笑みに気付いて、二人がじっと知春を見つめる。

「え?なんでそんなに笑ってる?」
「いや、二人ともずっと変わらないでいてくれてありがたいなって、改めて思っただけ。」

 ストンと落ちた本音。テレビに出る、雑誌に載る、さまざまなメディアを通して認知度が上がって、特に自分としては何も変わっていないのに、周りが加速して変わっていったような感覚でいた。その中でずっと変わらずに二人がいてくれたことはきっと、当たり前のことではないのだろう。

「変わらないよ。」