「七海ちゃんと違って私は…もう諦めてる。だから、この終わらせ方が正しいのかはわからない。」
「…諦めたのは、名桜がいたからですか?」
そうじゃない、とも言えない。しかし、それだけがすべてというのは、あまりに失礼な話だ。
「…難しいね、その質問。自分じゃだめだなと思ったきっかけは彼女じゃないけど、でも彼女の立ち振る舞いを見て、きっとこれからの知春の隣に立つ人はこのくらいじゃなきゃだめなんだなと思ったのも確か。」
「名桜ってそんなにすごいんですね。」
「素人だけど、あの子はなんか違うって思った。知春も、あんな風に動くんだなって…プロの仕事はもっと違うんだろうけど、一部を見せてもらったような…そんな気持ちになったかな。」
「…そっかぁ…。やっぱりすごいんだなぁ…。そういうところを普段全然出さないし、私達もなかなか見れないからなぁ。」
「確かに、カメラさえ持たなければ本当に普通の子よね。」
「普通の名桜が、普通にいる。…そんな日も、私は終わっちゃう日、そんなに遠くないかなって。」
「…かもしれないね。知春が突然普通じゃなくなったみたいに。」
「だから、そうなる前に。」
蒼はこのままでいいのだろうか。名桜がいつ知春みたいになっても、おかしくないのに。そんなことを蒼にぶつけていいのかもわからない。そもそも、自分は一体どんな立場でものを言うつもりなのかも曖昧だ。
「…他人のことはよく見えるから、言いたくなる…。拓実もそんな気持ちだったのかな。」
「…はぁー…。もう、本当に蒼を殴りたい!」
「殴りたい?」
いきなり暴力的になる七海に笑いが込み上げた。
「私がこんなに悩んでるのに、何にも考えてないみたいな顔しててー!」
「あはは、なるほどね。でも確かに、拓実のこともちょっと殴りたいかも。」
「そこは拓実先輩なんですね。」
「知春のことは、今はもう簡単に触れないよ。」
擦り傷だって切り傷だって、心の傷だって悩みだって残せない。知春に関わる人が、今は多すぎるから。
「…悩みたくて生きてるわけじゃないのになー。」
「…ほんとにね、溜息出ちゃう。」
「…諦めたのは、名桜がいたからですか?」
そうじゃない、とも言えない。しかし、それだけがすべてというのは、あまりに失礼な話だ。
「…難しいね、その質問。自分じゃだめだなと思ったきっかけは彼女じゃないけど、でも彼女の立ち振る舞いを見て、きっとこれからの知春の隣に立つ人はこのくらいじゃなきゃだめなんだなと思ったのも確か。」
「名桜ってそんなにすごいんですね。」
「素人だけど、あの子はなんか違うって思った。知春も、あんな風に動くんだなって…プロの仕事はもっと違うんだろうけど、一部を見せてもらったような…そんな気持ちになったかな。」
「…そっかぁ…。やっぱりすごいんだなぁ…。そういうところを普段全然出さないし、私達もなかなか見れないからなぁ。」
「確かに、カメラさえ持たなければ本当に普通の子よね。」
「普通の名桜が、普通にいる。…そんな日も、私は終わっちゃう日、そんなに遠くないかなって。」
「…かもしれないね。知春が突然普通じゃなくなったみたいに。」
「だから、そうなる前に。」
蒼はこのままでいいのだろうか。名桜がいつ知春みたいになっても、おかしくないのに。そんなことを蒼にぶつけていいのかもわからない。そもそも、自分は一体どんな立場でものを言うつもりなのかも曖昧だ。
「…他人のことはよく見えるから、言いたくなる…。拓実もそんな気持ちだったのかな。」
「…はぁー…。もう、本当に蒼を殴りたい!」
「殴りたい?」
いきなり暴力的になる七海に笑いが込み上げた。
「私がこんなに悩んでるのに、何にも考えてないみたいな顔しててー!」
「あはは、なるほどね。でも確かに、拓実のこともちょっと殴りたいかも。」
「そこは拓実先輩なんですね。」
「知春のことは、今はもう簡単に触れないよ。」
擦り傷だって切り傷だって、心の傷だって悩みだって残せない。知春に関わる人が、今は多すぎるから。
「…悩みたくて生きてるわけじゃないのになー。」
「…ほんとにね、溜息出ちゃう。」



