* * *
(…ああいう世界で、仕事をしているのね…。)
シンデレラのドレスではない方の衣装を脱ぎ、皺にならないようにハンガーにかける。ふぅと息を吐けば、自分が緊張して疲れていたことを知る。
拓実にはうまく目が合わせられなくて、知春が触れた背中は熱くて、よく最後まで立っていられたものだと自分を褒めてあげたい気持ちになる。
(それにしても拓実が言ってたのって…。)
文化祭を知春と二人で回るなんてことは、考えてもいなかったことだ。そんなことは不可能だと最初から知っているからだった。それをあえて言われたのは、どういう意味だったのだろう。
そんな時に、コンコンと教室のドアがノックされた。
「失礼します。って、あれ、椋花先輩だけですか?」
「あなたは…。」
「名桜を呼びにきたんですけど、教室、ここで合ってますよね?」
「合ってるんだけど、いつも多目的室も使って準備してるの。今日の教室は着替え部屋。」
「うわ、そうだったんですね!着替え途中じゃなくてよかった…。」
コロコロ変わる表情は名桜と違う、と椋花は思う。あの子はこんな風に元気いっぱいには話さない。
「名桜はもう戻りました?」
「どうだろう…私は着替えていいって言われたからこっちに来てて。彼女は知春や拓実に捕まってるかも。」
「名桜って本当にモテますね~!ま、いい子だから仕方ないんですけど。」
「ね。私もそう思った。」
真っ直ぐで真面目で、いい子だった。知春と対等に仕事ができる、嫌味のない子。
「椋花先輩。」
「なに?」
「文化祭の準備中で忙しいのわかってるんですけど、ちょっとだけ話を聞いてもらってもいいですか?」
「私?麻倉さんじゃなくて?」
「名桜にも蒼にも言えない話で、友達にはもちろん言えないし。でもちょっとしんどくて。」
二人に言えない話でしんどいとくれば、もしかすると彼女も自分と同じなのかもしれない。そんなことを思って、椋花は頷いた。
「…いいよ。話して。」
(…ああいう世界で、仕事をしているのね…。)
シンデレラのドレスではない方の衣装を脱ぎ、皺にならないようにハンガーにかける。ふぅと息を吐けば、自分が緊張して疲れていたことを知る。
拓実にはうまく目が合わせられなくて、知春が触れた背中は熱くて、よく最後まで立っていられたものだと自分を褒めてあげたい気持ちになる。
(それにしても拓実が言ってたのって…。)
文化祭を知春と二人で回るなんてことは、考えてもいなかったことだ。そんなことは不可能だと最初から知っているからだった。それをあえて言われたのは、どういう意味だったのだろう。
そんな時に、コンコンと教室のドアがノックされた。
「失礼します。って、あれ、椋花先輩だけですか?」
「あなたは…。」
「名桜を呼びにきたんですけど、教室、ここで合ってますよね?」
「合ってるんだけど、いつも多目的室も使って準備してるの。今日の教室は着替え部屋。」
「うわ、そうだったんですね!着替え途中じゃなくてよかった…。」
コロコロ変わる表情は名桜と違う、と椋花は思う。あの子はこんな風に元気いっぱいには話さない。
「名桜はもう戻りました?」
「どうだろう…私は着替えていいって言われたからこっちに来てて。彼女は知春や拓実に捕まってるかも。」
「名桜って本当にモテますね~!ま、いい子だから仕方ないんですけど。」
「ね。私もそう思った。」
真っ直ぐで真面目で、いい子だった。知春と対等に仕事ができる、嫌味のない子。
「椋花先輩。」
「なに?」
「文化祭の準備中で忙しいのわかってるんですけど、ちょっとだけ話を聞いてもらってもいいですか?」
「私?麻倉さんじゃなくて?」
「名桜にも蒼にも言えない話で、友達にはもちろん言えないし。でもちょっとしんどくて。」
二人に言えない話でしんどいとくれば、もしかすると彼女も自分と同じなのかもしれない。そんなことを思って、椋花は頷いた。
「…いいよ。話して。」



