骸街を歩いているが、特に何もない。帰ろうかと思った時、目の前を赤い何かが横切った。気になって、赤い何かを追いかける。追いかけているうちに、行き止まりに着いた。この状況、前にも無かったっけ……

「ありがとうピジョン」

「礼はいいよ。だってこの後、僕の劇に協力してくれるんだからね」

赤い何かは、ピジョンという人が付けていたイヤリングだったらしい。暗い場所では黒い髪と服は見え辛く、赤い宝石だけが目立っていた。

「遂にこの時が来たわ……祈望軍への宣戦布告のときが!」

外灯の下にいる、緑色の髪の眼鏡を掛けた人が言う。祈望軍への宣戦布告……この人たちは、軍に恨みがある人たちか……

「悪いけど、祈望軍の軍人たちはあなたたちに負けるほど弱くない。諦めた方がいいよ」

ここで弱い所を見せれば祈望軍全体が弱いと思われてしまう。それだけは絶対に避けたい。

「それはどうかしら。でも、あなたには関係の無いことね」

そう言って、本を私に見せる。

「それは、私の日記……!」

「本当は予知の本って言うのよ。でもあなたは知らずに日記として使っていた」

だからあんなことが出来たのか……でも今予知の本を見せて何をするつもりなんだろう……

「あら、新しいことが書かれたわね。教えてあげるわ。明日、あなたは死ぬ!」

見せられたページには、間違いなくそう書かれていた。でも、悲しくは無かった。覚悟はできている。向こうの時計塔を見ると今は11時50分頃。時計の針が12を指せば私は死ぬ。

ああ、私も、あのときのラストみたいに死ぬんだ。

「最後に何か言いたいことはある?」

ナイフが私の首に近づく。言いたいこと……

「別にいいよ」

もう、何も怖くない。ナイフが喉に当てられる。死ぬ直前に思い出した。聞きたいこと……


明日、誰か泣いてくれるかな