怪我人が出たらしく、担架で運び出される人を見た。後で報告すると言って鋼打さんたちは自室で待機するよう呼び掛けていた。

ほとんどの人がいなくなった頃、西村さんに呼び出された。場所は作戦を立てる時に使われる特別な部屋だった。

「最近、空操禁書の攻撃が激しくなってきている。海では商船を破壊し物資を不足させたり、空襲や潜行して軍艦を次々と沈没させている。陸でも攻撃が激しくなってきている。今回は本部に攻撃をしてきた」

最近、皆暗い顔をしている。ラストの討伐に行く回数は増えたのに食料等は節約。そうなるのも仕方が無かった。

「本部への攻撃はこれからもっと激しくなるだろう。だから、攻撃を受ける可能性が低い、セント・ウィッシュボックス町に君を避難させることになった」

また私だけ特別扱いだ。今の祈望軍には白旗の力が必要なはず。何で安全な場所で見ているだけにするの?

「藍野。護衛、頼んだぞ」

「はい」

西村さんと愛恩を見ると、ちゃんと考えた結果こうなったんだと分かった。もし空操禁書と戦った結果、白旗の力が無くなったらもうどうすることも出来なくなる。
皆死にたくないと思っている。けど、大切な人を守るため危険な場所で戦っている。

西村さんも愛恩も誰かを守るために命がけで戦う覚悟なんだ。私は……そこまでたどり着けていない。
白旗の私がこんな様子じゃ駄目なのに……