それから愛恩には会えず、二時が来た。私は図書室に行った。

「待たせてごめんね」

「大丈夫、今来たところ」

織雨さんはいなかった。

「本、無いなあ……」

美理矢君は織雨さんの机を見て言った。前はあった本が無くなっている。

「織雨さんがどこかに持って行っちゃったのかな?」

「そうだったら探すのは難しいだろうなあ」

織雨さんは魔法が使えるから本気を出して隠されたら見つけられない。

「……他の人に聞いてみるのは!?」

自分でもいい方法なんじゃないかと思う。隠さない人に聞けばいいんだ。

「無理だよ、昔から皆話したがらなかった」

美理矢君は諦め顔で言った。私があの本以外に載っている本は無いかなと探そうとした時……

「影見 栄理花(かげみ えりか)……?」

織雨さん宛ての手紙を見つけた。差出人は影見さんと言う人らしい。

「影見 栄理花って人知ってる?」

「知らないよ。どうしたの?」

私は手紙を指差す。

「きっとあの時のことを知っている世代だと思う。もしかしたら教えてくれるかもしれない」

美理矢君は目を見開いた。本以外に無いと思っていた情報が聞けるかもしれない。
考えることは同じだ。

「影見 栄理花って人を探そう!」