するとオフィスにいる全員が

立っている者も座っている者も

一斉に志穂に目を向けた。

そこに居るのはザッと視線を泳がせしてもわかるほどの

イケメンの大軍団の迫力と彼らが放つオーラと視線に

志穂は居たたまれない気持ちをひた隠し

うつむき加減に面接官の後ろを歩いた。

先ほどまではまったく緊張感がなかったが

今は心臓のドキドキ音が恥ずかしいやら

指先の震えが止まらないやらで

のどまでカラカラになった。

「ここがメインオフィスになります。」

立ち止まった面接官は私に言った。

「はい。」

志穂は小さく返事をした。

立ち位置はオフィスのド真ん中で仰天した。

「中野、今日からか?」

誰かが大声で聞いた。

「いや、まだ決まっていません。」

爽やか面接官中野は本人がすぐそばにいるのにまったく配慮のない返事し

次に何の気もなくサラリと

「で、どうします?」

その爽やかな一声は志穂に向けられていた。

いつの間にか彼女を取り囲むように群がっていたイケメン大軍団は

今やシンと静まり志穂の答えを待っていた。