その夜、夢を見た


何度も夢で繰り返された、決して消えぬ記憶を


あの悪夢の続きを…………





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誰からの記憶からも消された、嘗て我が家が存在した路地で、私は泣き続けていた


……その人に、話しかけられるまで



「───お嬢さん、こんなところで泣き崩れて、どうかしたのかい?」


頭上から、男の低い声が降ってきた


私の他にも、泣いている人間がいたのか


周りなど気にする余裕は無くて、気付かなかった


そう思いながら、ゆっくりと顔を上げると


「…………え……?」


周りに泣いている少女などおらず、男は確かに、
私を見つめていた
ーーーーーー



「どうして……私が、見えているの?」


男の紺色の瞳に、困惑した表情の自分が映し出される


「どうしてって、人間なんだから、見えるのは当たり前じゃ……

ああ、君はもしかして……」


男は不思議そうな顔をした後、何か心当たりがあるような口振りをし、そして……



「───君、雛桜家のあの二人の子かい?」


『雛桜』


男は、はっきりとそう言った



「っ!? ……何故、覚えている……?

雛桜を…………お父様と、お母様を……」



『これは〝力〟を持つ者以外から姿を見えなくする物』


不意に、お母様の言葉が脳裏を過ぎった