そして、この現状の中で、一人でも多くの命を守るため、私達の組織を知る者から協力が要請された



──私達の組織


それは、この世界でもごく僅かな、しかもその秘密を受け入れ、決して他言しない人間しか知らない組織


それは…………


何かしらの特殊能力を持つ人間達の集まり


正式な名称は付いておらず、この組織を知る者は大抵、〝あれ〟や〝あの者たち〟と呼ぶ


〝特殊能力を持つ人間〟とは、陰陽師や魔法使い、霊媒師などの術師や、時には半妖や妖怪も含まれる



そして、先程、話している時に付いていたあの口調は、ここに居る慎也や柚希などの、この組織に関係する人間たちの前で自然と付く事務的な話し方なのだ


……ただし、昔からそうだったわけではない


〝あの事件〟がきっかけだった


私の大切な人たち───この組織に関係していた人が、自分達のためにその生涯を終えるという悲劇を、目の当たりにしてしまった時


無意識のうちに頭を埋め尽くしたものがあった


それを言葉で表す事は極めて難しいが、例えるならば、あれは……〝後悔〟


もう私の大切な人たちを、誰一人として犠牲にしたくない


もう私を守らなくても良いから、消えてほしくない



その思いが強かったためか、気付いた時には


決して子供扱いされないような、守られなくても良いというような、凛々しさを踏まえた、大人びた言葉遣いになっていた───