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それから僕と柚希は、あの組織について聞かされた


組織は政府の一部とも繋がりがあり、僕は一昨年までの5年間、お金の心配はなく学業を修め、有名大学を卒業した


柚希は輝祈から、人間の姿になる術を教えてもらい、今では人型の方が定着している



……膨大な魔力によって、年齢とかけ離れた容姿のあの魔法使いは、

長い年月を、仲間がいながらも、孤独に生きてきた


自分と同じ歳月を、共に歩む者はどこにもおらず、先に旅立つその背中を、ただ見送ることしかできなかった


僕の先祖や、守れなかった者たちの死を見て、彼女は何度、その瞳に涙を浮かべただろう


僕はもう、そんな彼女に涙を流してほしくない


でも、生き物の死は必ず訪れることで、魔法使いや妖怪よりも遥かにそれが早い僕は、きっとまた、輝祈を悲しませる


だから、僕が生きている間だけでも、彼女には幸せでいてもらいたい


笑っていて、もらいたい───



朝日が昇るのを見ながら、そんなことを考えていると、ドアが開く音がした


振り返れば柚希が、家から出てきている


「おはよう、慎也っ!」


「うん、おはよう」


「今朝は僕が朝ごはん作ったんだよ!

冷めないうちに食べよう?」


そう言って笑う柚希の顔は、朝日を浴びてキラキラと輝いている


「ああ、それは楽しみだね。

早く食べよう」



もう一度、朝日を眺めてから、僕は家の中へと入った