カタッと物音がして目覚めた。
キッチンのテーブルに伏せたまま、いつの間にか寝込んでいたらしい。
「…風邪引くぞ」
鼻にかかった男の声に背中を震わせて振り向いた。
黒い髪の毛を前後左右に乱した男が流しの側に立っている。
「…何してるの?」
つい身構える。
「水。飲みてーな…て。グラス貸して」
「水?」
水道水を飲むつもりなのか。
「ちょっと待って」
呆れ返りながら冷蔵庫を開けた。
中から1リットルサイズのミネラルウォーターのペットボトルを取り出す。
隣に置いてある食器棚から細い円柱型のグラスを出し、それを8分目まで注いでやった。
「はい」
手を伸ばして差し向ける。
「サンキュ」
髪の毛を乱した男は嬉しそうにグラスを手に取り飲みだした。
それを横目で見つめながら、自分もグラスを取って注ぐ。
「キャップ閉めてやるよ」
横から伸びてくる手にペットボトルを取り上げられる。
1人ではない…と実感させられる。
1人だと一度グラスを置かないと閉められない。
「……どうも」
悔しい思いを感じながらも助かった。
味の濃いすき焼きを食べた後で、無性に喉が渇いていた。
「ところで」
ペットボトルを冷蔵庫に片付けた男がこっちを振り向く。
笑いかけもしない私の目線に、僅かに顔を引きつらせてから続けた。
キッチンのテーブルに伏せたまま、いつの間にか寝込んでいたらしい。
「…風邪引くぞ」
鼻にかかった男の声に背中を震わせて振り向いた。
黒い髪の毛を前後左右に乱した男が流しの側に立っている。
「…何してるの?」
つい身構える。
「水。飲みてーな…て。グラス貸して」
「水?」
水道水を飲むつもりなのか。
「ちょっと待って」
呆れ返りながら冷蔵庫を開けた。
中から1リットルサイズのミネラルウォーターのペットボトルを取り出す。
隣に置いてある食器棚から細い円柱型のグラスを出し、それを8分目まで注いでやった。
「はい」
手を伸ばして差し向ける。
「サンキュ」
髪の毛を乱した男は嬉しそうにグラスを手に取り飲みだした。
それを横目で見つめながら、自分もグラスを取って注ぐ。
「キャップ閉めてやるよ」
横から伸びてくる手にペットボトルを取り上げられる。
1人ではない…と実感させられる。
1人だと一度グラスを置かないと閉められない。
「……どうも」
悔しい思いを感じながらも助かった。
味の濃いすき焼きを食べた後で、無性に喉が渇いていた。
「ところで」
ペットボトルを冷蔵庫に片付けた男がこっちを振り向く。
笑いかけもしない私の目線に、僅かに顔を引きつらせてから続けた。