「ちょっと、痛いよ彩花。どうしたの?」


思わず力が入ってしまっていたようで、菜々花が顔をしかめた。


「あ、ごめん……」


すぐに手を離して謝るが、何も思い出さない菜々花にいらだった。


その時だった。


いつの間にかあたしの後ろにいた文哉が「俺、わかるかも」と、言って来た。


「なによ文哉。いつからそこにいたの」


あたしは慌ててスマホを閉じた。


後ろからのぞき見するなんて趣味が悪い。


「昨日、テレビに映ってただろ、さっきの男」


「はぁ? そんなわけないじゃん」


朝日はずっとあたしの隣にいたし、テレビになんて映るわけがない。


文哉お得意の冗談だと思ってそっぽを向いた。


その時だった。


「そうだ! 昨日テレビで見た人にそっくりなんだ!!」


と、菜々花が言い出したのだ。


「な、なによ菜々花まで……」


「お前見てないのかよ。未解決事件の事やってただろ」


文哉にそう言われて、あたしはテレビ番組を思い出していた。


たしかにそう言った番組はやっていたけれど、すぐにチャンネルを変えてしまったのだ。