「だめかな? でも、サイトにも一緒に送られてきた手紙にも、そういうのがだめっていう事は書かれていなかったよね?」


「確かに、そうだけど……」


警察に自分の存在を知らせる事もできないのだ。


他者に自分の存在を知られて、そこから何かが流出する可能性だってある。


あたしも、そのくらいのことは理解していた。


朝日にとって、顔をさらけ出す事はリスクになる。


「もし……万が一だけど、朝日の事を知っている子がいたとすれば、朝日が何者なのかわかるかもしれない」


あたしが言うと、朝日は目を見開いた。


「俺が何者なのか……?」


「そうだよ。そうすれば2人で助かる手段も見つかるかもしれない」


あたしは真っ直ぐに朝日を見てそう言った。


あたし自身も朝日の本当の名前を知りたい。


どうしてこうなってしまったのかも、知りたかった。


「確率は引くけどやってみる価値はあると思う」


あたしは続けてそう言った。


テレビ番組が切り替わり、過去の犯罪特集が流れ始める。


あたしはすぐに番組を変えた。


せっかくだから、楽しい番組を2人見たい。