「俺は殺人犯だ。朝日のような生ぬるい男じゃないぞ」


勇太はそう言いにやりと笑う。


それは獲物を見つけた野獣のようで心が凍りつくのがわかった。


「記憶を無くしていた時の俺はお前の事を大切に扱っていたな。思い出しただけでへどが出る」


「なんで……なんでそんな事言うの!?」


それじゃまるで朝日からもらっていた愛情が全部うそだったと言われているようだ。


「俺は女の体には興味がない」


勇太は耳元でささやく。


どういう意味?


そう聞こうとした瞬間、あたしの耳に痛みが走った。


焼けるような全身が燃えるような痛みに絶叫する。


「そうそう、その声が一番興奮するんだ」


涙でにじんだ視界で勇太を見ると、その口にはあたしの耳がくわえられていた。


勇太の口から滴り落ちるあたしの血。


右耳に触れてみても、そこにはなにもなくてただヌルッとした生暖かな血液を掴むだけだった。


勇太はそんなあたしを見て笑い、口の中の耳を咀嚼しはじめた。


クチャクチャと肉が噛み千切られていく音が響く。


「いやっ……いやっ!!」