みんなが教室から出て行ってしまい、あたしはそっと朝日の方へ振り向いた。


さっきまで気絶して倒れていた朝日が目を覚ましている。


「あ……朝日……?」


大丈夫、相手はあの朝日だ。


毎日一緒にいて幸せで大好きな朝日だ。


その記憶はまだ朝日の中にあるはずだ。


朝日はゆっくりと立ち上がり、あたしを見た。


その鋭い視線に体が震える。


「だ……大丈夫?」


できるだけいつも通りの調子でそう聞いて、朝日に一歩近づいた。


その瞬間、朝日がダッと駆けだしてあたしの腕を掴んだのだ。


咄嗟の事で息をすることさえ忘れてしまう。


「俺は朝日じゃない。勇太だ」


いつもより低いその声に背筋が寒くなるのがわかった。


「あ……あたしからすれば、どっちも同じだから」


「同じじゃない!!」


朝日はそう怒鳴り、あたしの体を押し倒した。


すぐに馬乗りになられて身動きが取れなくなる。