これは一体どういう事なの?


久しぶりに登校してきた学校に、なんでケンイチの死体があるの?


どうして先生と朝日が一緒に教室へ入って来るの?


「随分混乱しているようだな」


緒方先生は教卓の前に立ち、そう言った。


あたしはヨロヨロと立ち上がり、先生を見る。


助けを求めたいと思うけれど、どうやら先生にその気はなさそうだ。


「簡単に説明してやろう。いまこの教室内にいる13名の生徒たちは、みんな松谷彩花と加瀬勇太に家族や親せきを殺された者たちだ」


緒方先生の言葉がズドンッと胸を打ち抜いた。


あたしは壊れたロボットのようにクラスメートたちを見回した。


「嘘でしょ……?」


声はかすれて、視界は滲んだ。


ここにいる全員……あたしは菜々花と目があった。


教室の隅の方にいたから、今までその存在に気が付かなかった。


菜々花はあたしと目が合うと、微かに笑った。


その笑顔はあたしを見下し、さげすむものだった。


「彩花には言ってなかったね。あたし、そらの従兄なんだよ」


菜々花が楽しげな口調でそう言った。


「そらの弟のユウとはとても仲がよくて、いつも一緒に遊んでたの。家も近いしまるで本当の兄妹みたいだった。それが、ある日突然奪われた。


ユウが川で溺れて死んだって報告を受けた時、どれだけ悲しかったかあんたわかる!?」


菜々花の声は徐々に大きくなり、まるで悲鳴のように響き渡った。