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朝日に手当てをしてもらったあたしは、ケンイチの解体を再開させていた。


まさか手伝ってくれるなんて思っていなかったあたしは、足を切断しながらもまだ戸惑っていた。


朝日は物置からトンカチを持って来て、ケンイチの顔が判別できないように潰している。


時折肉が潰れる音や、骨が砕かれる音が大きく浴槽内に響いた。


「このくらいで大丈夫かな」


朝日がそう言い、あたしはケンイチの顔を見た。


ケンイチの顔は真っ赤に染まり原型をとどめていない。


「そのくらいで大丈夫じゃないかな?」


これなら誰だかわからない。


「そっちを手伝うよ」


そう言い、もう少しで切り落とせそうな足の切断にとりかかる。


「ねぇ朝日。朝日はこんなことしてなんとも思わない?」


「何も思わないわけじゃないけど、彩花が考えてくれたことだしな」


「怖いとか、気持ち悪いとか……あたしの事、嫌いになったりとか……」


そう聞くと、朝日は手を止めてあたしを見て来た。


「彩花の事を嫌いになるワケがないだろ!?」


怒ったようにそう言う朝日。


「本当に?」


「あぁ。少しは驚いたけど、これも俺のためだってちゃんとわかってるし」


朝日はそう言い、左足を完全に切断した。