「へぇー、凄いですね、碧なんて」 竹本さんは感心したように言う。 そして、なんだか目を輝かせていて。 それで分かってしまった。 「もしかして……ファンですか?」 その言葉に、大きく頷く竹本さん。 「戸崎さん? あの歌を聴いて、ファンにならないほうがおかしいですよ?」 竹本さんはそんなことを言う。 自分のことではないのに、なんだかくすぐったい。 「あ……あたし、よく聴いたことがないので……」 あたしは、遠慮がちに言った。