「2人に隠していた事全て話すよ。まず、今の俺は梶田翠として生きてる。黒戸蓮次という人間は死んだんだ」


世の中では、父さんは死んだ事になってるんだ。


でも実際は違う人間として生きてる。


だから俺達の元には、死んだという事だけを聞かされただけで、遺骨も何もなかったんだ。


「俺は組に居たんだ。入った時は悪い事なんてしてなかったが、代が変わってからは人殺しなんて日常茶飯事のようにしてきた。何度も抜けようとしたけど、抜けたらお前らを殺すと脅され、抜けられなかった」


あの佐賀ならやりかねないな。


だから、父さんは俺達を守って人殺しを…


「そんな時、沢神組に潜入し、動きを監視し随時報告する事、そして隙を見て沢神竜を殺せと言われ、俺はここに潜り込んだ」


親父さんを殺すなんて…


「でも、頭には初めからバレてた。気付かれた時は、死を意味する。俺は迷わず死を選んだ。もう人殺しなんてしたくなかったし、2人が狙われる心配もなくなると思って」


っ…


俺達のために自ら死を…


「そんな俺にもう一度生きるチャンスをくれたのが頭なんだ。俺はそれからずっとここで暮らして頭につかえてるんだ」


親父さんが、父さんを助けてくれたんだ…


本当、すげぇな、あの人…