「君……」


猫は、そんなあたしでもいいよって言ってくれた気がした。


あたしは猫の前にしゃがみこみ、黄色いリボンで編んだ三編みおさげの片方をほどく。


そして、その黄色いリボンを猫の首につけた。


「ノラ、家にくるならおいで。君が望むうちは、どれだけここにいても良いよ」



そう言ってあたしが門をくぐると、ノラはあたしの後を追って家に入った。


そう、ノラが望んであたしの傍にいてくれるうちは、いつだっていい。


ううん、本当はずっといてほしい。
だけど、あたしには縛る言葉を投げかける勇気がなかった。


そう言えるほど、自分に価値があるとは思えなかったからだ。