何とか優勝を勝ち取った結果。

 でも、亮佑は表彰台にも立てなかった。

 閉会式が終わって、観客席で待っていた親さんたちにお礼のあいさつをして、それぞれ帰宅準備をする。

 更衣室が空くまで待機だ。

「春ちゃん、先帰るね」

「分かった」

 肩をつつかれて振り返ると、姉ちゃんがいて、瞬桜さんは出入り口のあたりまでもう行ってた。

 姉ちゃんもそのあとを追いかけていく。

「…姉ちゃん!」

「え?」

「今日、ありがと!」

 目の前でちゃんと言えるかわかんないから、少し遠くにいる姉ちゃんに叫ぶように言う。

 目を丸くさせた姉ちゃんは、不意にニコッと笑って、瞬桜さんのもとへ駆け寄っていく。

 …姉ちゃんなのに!何だよドキッて!

 確かに、かわいかったけど…!

「ヒュ~♪秋さんに見とれてやんの」

「ッうるせぇ!!」

 茶化してきた亮佑を、足に負担がいかないようにしながら反撃しといた。