ナンパ男は、怒って私を殴ろうとした。
私は反射的に目を瞑ったが痛みはなかった。

「女の子に手をあげるなんて。
 大丈夫?」

『あっはい。ありがとうございます。』

茶髪のメガネをかけているイケメンさんが助けてくれた。

「いえいえ、さてと。
3―Cの筒井泰地先輩、どうします。」

イケメンさんは、柔らかい笑顔を顔に貼り付けてだけど、焦げ茶色のメガネのせいで瞳が隠れていて、真意を読み取ることご出来ない。

「冗談だよー木崎。だから、な?」

見逃してくれって言いたいのかな。

「次はないと思ってください。
 “筒抜け”先輩?」

この人の笑い方は偽物だ。

「あっ腕、赤くなっている。」

腕を見ようと私が着ている長そでのYシャツをめくろうとした。

『大丈夫ですので。失礼します。』

「あっ待って。2―Aの林田歌恋ちゃん。俺は、生徒会副会長の木崎魅月。生徒会室まで案内するよ。」

やっぱり柔らかい偽笑顔で言うんだ。