「見ただけで、何で分かるんですか?」
「やってるかどうかなんか分かるだろう、そんなもん」
自信たっぷりに答える。
この男、最低だ。
「分かんないでしょう?そんなの。伊村さん、そんなに女性経験あるんですか?」
「いいか、人間ってのは、関心があればそっちを向くんだよ。男だって女だっておんなじだ。本当に相手を思ってるなら、こうやってお互いの目を見て、見つめあうだろう?」
彼の顔が、近づいてきた。
タイミングは最悪だ。
きっと、さっきより酷い顔してる。
彼の視線が、さっきまで泣きはらして、多分、かなりの可能性で、ぐちゃぐちゃになってると思われる私の顔に注がれている。
百歩譲ったって。
間違ってロマンティックな気分にならない。
この顔で見つめ返したら、確実に幻滅するだろうな。
だから、私は、じいっと下を向いたままでいた。
「まあ、どっちもどっち。あの二人、お似合いだろう」
彼が言う。
「そんなはずない……」
いくら何でも、一緒なんかじゃない。
「でも、あの子、俺に電話番号、知らせて来たぜ」
「番号教えたんですか?」
「相手なんかするか。無視するに決まってるだろう?だいたい、俺の好みじゃない」
「伊村さん、好みなんかあったんですか?」
「お前、俺のこと、何だと思ってる?ホントいつも、ひでぇ扱いするなあ」


