「戸田さん?」
声をかけようと思ったけれど、一人じゃないってことを思い出して、慌てて言葉を飲み込んだ。
彼の横には、ルナがいた。
彼にピッタリ寄り添って、彼の腕にしがみついて。
上目遣いに彼のことを見て。
彼女は、甘ったるい声で男にしなだれかかる。
前から、私はこういう女が嫌いだった。
そういう女を連れてる男も大嫌いだった。
彼の横にいるルナは、普段からそう思ってる部類の女だ。
彼が連れているのは、そう思う女だ。
戸田さんは、ルナの隣でまったくそういう男に成り下がってる。
彼の気を引くために、したたかに甘えてるルナに、目尻を下げて答える。
「ただの同僚って感じに見えないな」
伊村さんが遠慮なく言う。
「そうね」
ルナといるっていうより、仕事を離れても、ルナの隣で笑ってるって方がショックだった。
「ショックか?」
伊村さんが心配そうに私の顔をのぞき込む。
「思ったほどでも」
ショックはショックだったけれど、戸田さんの考えが透けて見えて、もうそういうものに嫌悪感さえ抱いていた。
「こういうカップルだけがかかるウィルスが蔓延して、コイツらなんか滅びてしまえばいいのに。思ってた人種に憧れの人が、ゾンビにでもなってなってしまった心境だわ」
「ひでえな」
「言い方、そんなにきつかった?」
「そうじゃないよ」
彼は、ブルッと首を横に振る。


