私は、エレベーターで恋に落ちる


「少し休憩する?」

「うん」

仕事に集中できなくて、画面を見つめたまま何もできずにいた。

タイミングを計ったみたいに、美穂が声をかけてくれた。

一度伸びをして、仕事のために集中してたっていうポーズをする。

でも、美穂はお見通しだったみたいだ。

「珍しく、だいぶやられてるみたいじゃん」

美穂にトンと背中を叩かれ、立ち上がった。



美穂と、フロアを出て喫茶コーナーに向かった。

いろいろあるメニューから、カップ入りの熱いブラックコーヒーにした。

苦味を感じる飲み物で、甘ったるい口の中を洗い流したかった。

美穂に、「さっきの、聞こえてた?」と、彼女にたずねる。

戸田さんとのこと、どう思ったのか聞きたかったのだ。

彼女は、やれやれという表情で首を振ると、
「やっと現実に気づいたか」と言った。

彼女は、まったく何でもないみたいに言う。