私は、エレベーターで恋に落ちる

「ようやく落ち着いてきたね」
と戸田さんが言った時、

「失礼します」って、ルナちゃんが勝手に部屋に入り込んできて、私たちの間に入って来た。

「おお、来たか」
戸田さんは、勝手に入って来たことを、咎める様子もない。
むしろ、嬉しそうにルナのことを呼びいれる。

私、これからファイルの整理しなければならないんですけど。

私は、ファイルの束をルナに思い出させようとした。


その前に、戸田さんがルナの方を見てから言う。

「ついでだと思ってね。今のうちによく聞いておこうと思って」彼は、チラッとルナの方を見る。

今の、何?
アイコンタクト?

ずっと一緒に仕事してる私でも、ここまで親しくないのに。

「はい」嫌な予感しかしない

「えっと、ヨコタさんの件なんけど……」

「はい」やっぱりそうだ。


「正直、ちょっと困ったことになってるんだ」
戸田さんが肩を落とした。

「困ってるって言うと?」
こまってないって言われる方が驚きだ。

「君の処置のせいで、ヨコタさんカンカンでね。契約を打ち切るというんだ」

「ええっ?」
契約を打ち切るなら、それでも仕方ないけど、何で私のせいなの?
心の中で叫ぶ。

「君との約束がどうなってたのか知らないけど、何にも知らないルナが怒鳴られちゃってね。偉い剣幕で契約解除だって言い出してね。どうにもならなくなっちゃって」
彼の話に、気が遠くなる。

「戸田さん、まさかルナに全部任せたんじゃないでしょうね?」
もうこうなったら。戸田さんにだっていい顔はできない。

「全部ってわけじゃないけど」

「任せたんですね?私は、散々忠告しましたよ。彼女は全然わかってないって。知りませんよ」