私は、エレベーターで恋に落ちる


「そこでですね。今日から検証作業に入ったところなんですが、検証作業をしている間、もうしばらく篠原さんを私共にお貸いただきたいのですが……」

「篠原が、ですか?」

「はい」

「どうぞ。お好きなように。煮るなり、焼くなりと」
課長が、資料に赤ペンを入れながら言った。

伊村さんがくすっと笑った。

たまらず私は口を挟む。
「あの、私だって自分の仕事がありますし……」


「ああ、仕事ならルナ君が頑張ってるから、心配ない」
目を上げずに課長が言う。

私は、目を見張った。
冗談じゃない。
契約前にルナなんかに渡したら、絶対に上手くいかない。

「ルナ?冗談でしょう。引き継ぎも何もやってないし」

「引き継ぎなんか、いらんだろう。資料見ればわかるし、戸田君もついてる」

「戸田さん!これから、ずっとルナが戸田さんに付くんですか?」
最悪だ。

「これからって、もう、早速始めてるけど」

「そんな」
今まで続けてきたことが、パーになる。